橋を渡った先は寝殿造りを上にいくつか重ねたかのような建物がいくつかの区画に分かれて聳えており、それぞれは空中回廊で繋がっているようだった。
「これって、誘ってるのかしら」
「あるいは、お二人の諍いが見るに耐えなかったのかもしれません」
 弓納はひょいと 一足先に門の中に入っていった。
「こ、小梅ちゃん、ひょっとして怒ってる」
「いいえ、全然怒ってないです」
 振り向いた顔は満面の笑みである。望月と天野は一瞬ゾクッとした。
「望月」
「何、天野君」
「喧嘩はやめよう。大人気ない」
「そうね。その通りよ」
 望月と天野は弓納の後を追うように門の中に入っていった。
 橋を渡ると左手に緩やかな階段が伸びており、その先にようやく建物の中へと入る入口があった。
「出鱈目な造りしてるわね。これってどうやって作ったのかしら」
「ふむ、適当なことを言うと、腕のいい宮大工が我が儘なお姫様の無理難題を魔法の工法で叶えてやったんじゃないか」
「それはまた随分適当ね」
「案外、神様の力を借りてるのではないでしょうか?」
「神様のね……でも、神様を降ろしたのだとしても、こんなの出来るかしら。だって神様って、特殊な技術や力は提供してくれるけど、スペックまでは提供してくれないのよ。出力部分はあくまで呼び出した本人のものを使うだから」
 そう言って、望月は中に入っていった。

 橋を渡った先は寝殿造りを上にいくつか重ねたかのような建物がいくつかの区画に分かれて聳えており、それぞれは空中回廊で繋がっているようだった。
「これって、誘ってるのかしら」
「あるいは、お二人の諍いが見るに耐えなかったのかもしれません」
 弓納はひょいと 一足先に門の中に入っていった。
「こ、小梅ちゃん、ひょっとして怒ってる」
「いいえ、全然怒ってないです」
 振り向いた顔は満面の笑みである。望月と天野は一瞬ゾクッとした。
「望月」
「何、天野君」
「喧嘩はやめよう。大人気ない」
「そうね。その通りよ」
 望月と天野は弓納の後を追うように門の中に入っていった。
 橋を渡ると左手に緩やかな階段が伸びており、その先にようやく建物の中へと入る入口があった。
「出鱈目な造りしてるわね。これってどうやって作ったのかしら」
「ふむ、適当なことを言うと、腕のいい宮大工が我が儘なお姫様の無理難題を魔法の工法で叶えてやったんじゃないか」
「それはまた随分適当ね」
「案外、神様の力を借りてるのではないでしょうか?」
「神様のね……でも、神様を降ろしたのだとしても、こんなの出来るかしら。だって神様って、特殊な技術や力は提供してくれるけど、スペックまでは提供してくれないのよ。出力部分はあくまで呼び出した本人のものを使うだから」
 そう言って、望月は中に入っていった。

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