建物の中はいたって単純で、基本的には朱色の柱に板張りの薄暗い廊下と、畳の敷かれた明るい部屋で構成されていた。
 望月達は橋から見えた一番上層の階を目指した。そこからたまきと思しき気配を感じ取ったからである。いくつかの部屋と廊下を横断し、上層へと登った所で望月達は立ち止まった。
「いきなり、何の前触れもなく来たわね」
 登った先はやはり畳の敷かれた部屋。望月は"目の前にいるそれ"を見て不敵な笑みを浮かべる。
「こんな猛獣を放し飼いにするなよ。飼い主の神経を疑うぜ」
 対して、天野は引きつった顔をする。
「あるいは、私達のために特別に放し飼いにしてあげたのかもしれませんね」
 弓納は淡々と言った。

 建物の中はいたって単純で、基本的には朱色の柱に板張りの薄暗い廊下と、畳の敷かれた明るい部屋で構成されていた。
 望月達は橋から見えた一番上層の階を目指した。そこからたまきと思しき気配を感じ取ったからである。いくつかの部屋と廊下を横断し、上層へと登った所で望月達は立ち止まった。
「いきなり、何の前触れもなく来たわね」
 登った先はやはり畳の敷かれた部屋。望月は"目の前にいるそれ"を見て不敵な笑みを浮かべる。
「こんな猛獣を放し飼いにするなよ。飼い主の神経を疑うぜ」
 対して、天野は引きつった顔をする。
「あるいは、私達のために特別に放し飼いにしてあげたのかもしれませんね」
 弓納は淡々と言った。

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