それは大きな地鳴りのような唸りを発し、侵入者をじっと見定めている。迂闊に動こうものなら、すぐに食らいつくとでも言わんばかりの目である。
 獣は猫とも虎ともつかぬ相貌をしており、逆立った尻尾は蛇であった。
「鵺、といった所でしょうか?」
「どうでしょうね、それは飼い主に聞いてみないと」
「では、さっさとのしてしまいましょう」
 弓納の手に捻れた朱色の槍が現れる。
 獣は弓納の様子が変わったのに躊躇し、少し距離をとる。
「何を……」
 弓納はハッとする。
「お二人とも下がって!」
「分かってる!」

 それは大きな地鳴りのような唸りを発し、侵入者をじっと見定めている。迂闊に動こうものなら、すぐに食らいつくとでも言わんばかりの目である。
 獣は猫とも虎ともつかぬ相貌をしており、逆立った尻尾は蛇であった。
「鵺、といった所でしょうか?」
「どうでしょうね、それは飼い主に聞いてみないと」
「では、さっさとのしてしまいましょう」
 弓納の手に捻れた朱色の槍が現れる。
 獣は弓納の様子が変わったのに躊躇し、少し距離をとる。
「何を……」
 弓納はハッとする。
「お二人とも下がって!」
「分かってる!」

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