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望月と天野は階段を最上階と思しき所まで駆け上がった後、いくつかの廊下と部屋を横断していった。朱色の柱に板張りの廊下は相変わらず薄い灯りのみで薄暗かったが、対照的に畳の敷かれた部屋の内部は昼間であるかと錯覚するほどの明るさだった。 頂上へと続いている階段を駆け上がると、そこは簡素な部屋だった。そこは特にこれといった装飾はなく、ただ屋外へと出るらしい引き戸があるくらいである。 「天野君。心の準備はいいかしら」 「もちろんだ。いつでも心の準備は出来ている」 「そう、よかった」
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