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「しかし、思いの外買ってしまった」 太は片手に提げた紙袋を持って、旧貴賓館前広場の川沿いのベンチに座った。 旧市街にあるこの広場は比較的街の中心部に位置しながらも、観光客も地元の人間もさほど多くないので、静寂を求めるには格好の場所だった。太は特に何をするでもなく上を見上げた。常緑樹から漏れる木漏れ日がキラキラと輝いていて、どことなく健やかな気持ちにさせた。太はそのまま目を閉じる。 「たまにはゆっくりと過ごすのも悪くない」 そう、ゆっくりと……
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