高舞台へとたまきはたどり着いた。そこで、設えられていた銅鏡に手をかざすと、高舞台の後ろにある空間に小さな青白い紋様のようなものが生じ始めた。
「ああ、やっとよ。皆」
 たまきは感慨にふけるような声を出す。その間にも空間は少しずつ広がっていき、やがて人一人分が通れる大きさになった。
 光があふれていて、開いた空間の先は窺い知れない。
「天野君。聞いてみるけど、貴方のフミツカミでどうにかならないの?」
「ああ、今準備が出来た。結界を食ってしまえばいいんだろう?」
 天野は徐に右手を前に突き出す。
 天野から黒い文様が飛び出し、地を這って結界に喰らいついた。しかし、喰らいつきはするものの、一向に結界が解かれる気配はない。
「どう? 天野君」
「参ったね。ちょっと時間がかかりそうだ」
「なるほどね。願わくは、"彼ら"が結ちゃんを説得してくれると助かるのだけど」
 望月は前方の光景を見ながら呟いた。
 その視線の先ででは、ゆっくりと立ち上がった太がたまきを見つめていた。

 高舞台へとたまきはたどり着いた。そこで、設えられていた銅鏡に手をかざすと、高舞台の後ろにある空間に小さな青白い紋様のようなものが生じ始めた。
「ああ、やっとよ。皆」
 たまきは感慨にふけるような声を出す。その間にも空間は少しずつ広がっていき、やがて人一人分が通れる大きさになった。
 光があふれていて、開いた空間の先は窺い知れない。
「天野君。聞いてみるけど、貴方のフミツカミでどうにかならないの?」
「ああ、今準備が出来た。結界を食ってしまえばいいんだろう?」
 天野は徐に右手を前に突き出す。
 天野から黒い文様が飛び出し、地を這って結界に喰らいついた。しかし、喰らいつきはするものの、一向に結界が解かれる気配はない。
「どう? 天野君」
「参ったね。ちょっと時間がかかりそうだ」
「なるほどね。願わくは、"彼ら"が結ちゃんを説得してくれると助かるのだけど」
 望月は前方の光景を見ながら呟いた。
 その視線の先ででは、ゆっくりと立ち上がった太がたまきを見つめていた。

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