「どうしたの? 鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」
 たまきがきょとんとした顔をする。
「たまき。何でここに」
「あら、そんなに驚くことかしら? ここって不審者さんでも簡単に入れちゃうもの。なのに、私がここにいるのがそんなに可笑しくって?」
「いや、可笑しくはないけど……でもやっぱり可笑しいよ。そもそも大学(こんな所)に一体何の用があるのさ」
 そう聞かれてたまきは「そうねー」と人差し指を口に当てて素っ気もない天井を見上げる。
「あ、でもお父さんにはお仕事で用があったのよ。だから私も後学のために連れてきてもらったの。これは本当よ」
「ああ、なるほど。それなら信じるよ。じゃあお父さんもここにいるわけか」
「うん、そうよ」
 少女は屈託なく笑う。
「でもまだ駄目よ。あの人はまだお仕事中だから」
「はは、分かってるって。でも今はそれより、気になることがあるな」
 彼はたまきの奥でそわそわしつつも呑気に口笛を吹いている大男をねめつける。

「どうしたの? 鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」
 たまきがきょとんとした顔をする。
「たまき。何でここに」
「あら、そんなに驚くことかしら? ここって不審者さんでも簡単に入れちゃうもの。なのに、私がここにいるのがそんなに可笑しくって?」
「いや、可笑しくはないけど……でもやっぱり可笑しいよ。そもそも大学(こんな所)に一体何の用があるのさ」
 そう聞かれてたまきは「そうねー」と人差し指を口に当てて素っ気もない天井を見上げる。
「あ、でもお父さんにはお仕事で用があったのよ。だから私も後学のために連れてきてもらったの。これは本当よ」
「ああ、なるほど。それなら信じるよ。じゃあお父さんもここにいるわけか」
「うん、そうよ」
 少女は屈託なく笑う。
「でもまだ駄目よ。あの人はまだお仕事中だから」
「はは、分かってるって。でも今はそれより、気になることがあるな」
 彼はたまきの奥でそわそわしつつも呑気に口笛を吹いている大男をねめつける。

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