「私はこうなる時に決めたの。必ず異界への門を開き、私達の故郷をもう一度作り直そうって」
「まさか。そんなこと、出来るわけがない」
「あら、貴方の口からそんな言葉が出るなんて、少し驚きよ」
「何を、言ってるんだ」
 思いがけないことを言われ、太は顔をこわばらせる。しかしそんな太の様子を見て、たまきは意外そうな顔した。
「はじめ。ひょっとして貴方は、自分のことを知らないの?」
「僕のこと? そんな、自分のことはよく分かってるつもりだ。僕は、こちら側の世界を少し知ってるってだけでそれ以外は普通の大学生だ」
「そう、可哀想な子。誰も貴方に貴方のことについて教えてくれなかったのね」
「何を言っているんだ君は……?」
「なら私が貴方に伝えましょう」
 たまきは太の目の奥をじっと見据える。まるで、その事実から目を逸らすことを許さないとでも言うように。

「私はこうなる時に決めたの。必ず異界への門を開き、私達の故郷をもう一度作り直そうって」
「まさか。そんなこと、出来るわけがない」
「あら、貴方の口からそんな言葉が出るなんて、少し驚きよ」
「何を、言ってるんだ」
 思いがけないことを言われ、太は顔をこわばらせる。しかしそんな太の様子を見て、たまきは意外そうな顔した。
「はじめ。ひょっとして貴方は、自分のことを知らないの?」
「僕のこと? そんな、自分のことはよく分かってるつもりだ。僕は、こちら側の世界を少し知ってるってだけでそれ以外は普通の大学生だ」
「そう、可哀想な子。誰も貴方に貴方のことについて教えてくれなかったのね」
「何を言っているんだ君は……?」
「なら私が貴方に伝えましょう」
 たまきは太の目の奥をじっと見据える。まるで、その事実から目を逸らすことを許さないとでも言うように。

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